熱電対とは
温度を測定するセンサーで、異なる2つの金属接合したものです。
接合部(温接点)と端末部の温度差で、熱起電力が発生したものを計器で読み取って、温度に換算します。
熱電対の合金は通常、ワイヤーの形で入手できます。 2種類の異なる金属導体の両端を接続して閉回路を作り、一端を加熱するなどして、両端に温度差を生じるとその金属固有の熱起電力が発生し、回路中に電流が流れます。その現象をゼーベック効果と呼び、この原理を利用して温度を計測します。 この2種類の金属の組み合わせを「熱電対」と呼びます。
熱電対の起電力特性については3つの法則(均質回路の法則・中間金属の法則・中間温度の法則)があります。 熱電対では温度測定は電圧の変換によって表示されます。
熱電対の種類は、熱電対を構成する金属成分の違いによって分けることができます。種類の違いは、1文字のアルファベット(ANSI,IEC,JISなどのカラーコード)で表されます。いずれかのタイプの熱電対を選択し、電圧値をDAQ(データ収集)ハードウェアで計測・収集すれば温度を算出することができます。
熱電対の原理
熱電対は3つの法則に基づいて、機能を発揮します。
・均質回路の法則:金属線が均質であれば、局部的に加熱をしても電流が流れることはなく、熱電対の両端が均質であれば、途中の温度分布に熱起電力は影響されません
・中間金属の法則:回路中に異なった金属が入っても、その両端の温度が等しければこの影響は生
じなく、熱電対温度センサーに異種金属である熱電対コネクターが使用できる理由です。
・ 中間温度の法則:回路中の中間温度が既知である場合、温接点、中間温度、基準接点それぞれの温度差から得た起電力の和と全体の起電力は等しくなります。熱電対の温度測定に 必要な冷接点補償回路は、この原理に基づいて設計されています。
回路をセンターで開いた時の電圧(ゼーベック電圧)は、接合点温度と2つの金属の組成の関数なっています。 eABはゼーベック電圧図3とすべての異種金属間には、この効果があります。小さな温度変化の範囲では、ゼーベック電圧は温度に直線的に比例して います。
ΔeAB = αΔ T
α(ゼーベック係数)は比例定数です。熱電対電圧の測定 - 電圧計を熱電対に接続する と、それ自体が新しい熱電回路になるため、直接ゼーベック電圧を測定できません。
・接合点温度と2つの金属の組成の関数なっている
・ゼーベック電圧は温度に直線的に比例
・α(ゼーベック係数)は比例定数
ゼーベック効果
物体の温度差が電圧に直接変換される現象で、 熱電効果の一つです。1821年、ドイツ人のゼーベックが発見。ゼーベック効果の仕組みは、異なった金属でできた2本の導線 が、両端で接合された状態で、その両端に温度差があると、熱電気回路に電流が流れ ます。この現象がゼーベック効果です。この回路に電流を起こさせる電力を熱起電力 と呼び、その極性と大きさは2種類の導体の材質と、両端の温度差のみによって定まる ことが確認されています。つまり、導体の太さや長さ、両端部位外の温度は無関係です。
・物体の温度差が電圧に直接変換される現象
・2種類の金属線の両端を接合して対を作り、その両端の温度に差があると、端子間に起電力が生じ、対の間に熱電流が流れること
・両端の温度差のみによって定まること
トムソン効果
熱電気現象の1つで,ペルチエ効果とともに熱起電力です。温度差がある一様な金属上に電流を流すと発熱または吸熱が起こる効果で、イギリス人のウィリアム・トムソン が発見した。
・熱電気現象の1つ
・電流の向きを逆にすると発熱、吸熱が逆になる
・一様な金属上に電流を流すと、発熱または吸熱が起こる効果
ペルティエ効果(ペルチェ効果)とは
ペルティエ効果とは、ゼーベック効果の逆の効果のことで、2つの異なった金属に電流 を流すと、吸熱(発熱)が起こり、電流を逆転させると、接合点で熱の吸収・放出が 反転することを、1834年、フランス人科学者ペルチェが発見した。
・ゼーベック効果の逆のこと
・電流を逆転させると、接合点で熱の吸収・放出が反転する
・ 熱が移動する方向は電流の向きによって制御できる
熱電対の法則
・均質な金属では、局部加熱しても電流は流れない
・熱電対の両端が均質であれば、途中の温度分布に熱起電力が影響されない
中間金属の法則
中間金属の法則とは、熱電対の中間に異種金属が入った際の法則です。熱電対の間に異種金属を追加しても、その両端に温度差がない場合は影響されません。両端接合部の温度が一様であれば、問題はないと言うことです。熱電対温度センサーに、異種金属である端子台や、コネクターが使用できる理由です。
・熱電対の中間に異種金属がある場合のこと
・追加した異種金属の両端に温度差がない場合は、影響をうけない
熱電対線とは
熱電対グレード(デュープレックスワイヤー)のワイヤーは、熱電対の検知ポイント (つまりプローブ部) を作るのに使用されるワイヤーです。補償グレードのワイヤーは、プローブ からの熱電対信号をその信号を読み取る装置に送るためにのみ使用されます。補償グレードのワイヤーは通常、周囲温度限界が低くなっています。これはワイヤーを使用できる温度の ことです。つまり、これはプローブから受け取った高い温度を意味する信号を伝えることはできますが、このワイヤーをもっと高い温度にさらすことは物理的にできません。熱電対線 を補償導線として使用することはできますが、補償グレードのワイヤーを熱電対の検知ポイント (つまりプローブ部) で使用することはできません。補償ワイヤーの部品番号には通例"EX"のプレフィックスが付けられています。
・補償導線は、熱電対とほぼ同等の熱起電力特性の金属を使用した導線
・熱電対より安価なため、補償導線が使用される。
・熱電対の種合わせる必要があり、補償導線の使用温度範囲で専用の導線を使用する
・補償導線は、単独での温度測定に使用されることはない
・補償導線は、色で識別することができるようになっている